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虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)

狭心症、心筋梗塞

 心臓には、酸素や栄養を送る冠動脈という動脈血管があります。この冠動脈は、右冠動脈、左冠動脈前下行枝、左冠動脈回旋枝という3本の血管で栄養しています。王様の冠のようにこの3本の血管が心臓を取り巻いていることから、冠動脈と名付けられました。冠動脈の壁の内側に悪玉コレステロール(LDLコレステロール)や血のかたまり(血栓)がたまり、血管が狭くなったり詰まったりすると、心臓の収縮を担当する筋肉である心筋が酸素不足となり、その働きが弱まるようになります。

 

 

狭心症・心筋梗塞

 冠動脈が狭くなり血流が一時的に不十分となると「狭心症」、さらに冠動脈が急激に閉塞してしまうと「心筋梗塞」となります。心臓は眠っている間も休まず全身に血液を循環させている重要な臓器ですので、狭心症や心筋梗塞になると心臓の働きが脅かされ命にかかわることがあります。

症状

 心筋梗塞や狭心症では、心臓の筋肉が酸素不足となるため胸の中心付近が圧迫され締め付けるような強い痛みを感じます。みぞおちのあたりに漠然とした痛みを感じたり喉や顎、左肩や左腕、背中、歯が痛む場合もあります。

 心臓の血管が一時的に狭くなった狭心症の状態では、血流が自然に回復するため、安静にしていれば多くは数分、長くても15分以内に痛みが治まります。しかし、適切な治療をしないと再発、進行します。一方、心筋梗塞は血流が完全に途絶えるため、詰まった瞬間から 20 分以上症状が続くのが特徴です。

心筋梗塞が疑われたら

 心筋梗塞は、発症後可能な限り早期に治療を行うことがとても重要です。早期治療により死亡や心臓に重い障害が残る可能性を大きく減らすことが出来ます。医療の進歩により、近年の救命率は飛躍的に上昇しています。病院に到着するまでの時間を短縮することができれば、緊急カテーテルで閉塞した冠動脈の血流を早期に開通させ、救命できますが、いまだに多くの方が毎年心筋梗塞により命を落とされています。

①強い胸の痛みを感じる ②ごく軽い動作や安静時にも胸の痛みを感じる ③胸の痛みが繰り返し起こる ③安静にしても15分以上持続する

このような症状があるときは心筋梗塞の可能性が高いと考えられます。発症してから治療までの時間が何より重要ですので、ためらわずに救急車を呼ぶようにしましょう。

原因

 冠動脈疾患を発症しやすくする危険因子には、高血圧、糖尿病、脂質異常症(高コレステロール血症など)、肥満、喫煙などがあります。遺伝的な要因も冠動脈疾患の発症のしやすさに影響を与えていることが分かってきています。男性で55歳未満、女性で65歳未満の冠動脈疾患を発症した方が親族の中にいる場合、遺伝的リスクが高い可能性があります。

 

検査

 狭心症が疑われる場合には、まずは体への負担が比較的少ない冠動脈CTや心臓核医学検査(心筋シンチグラム)などの検査で評価します。冠動脈CTは腕の静脈から造影剤を注入しながら心臓の撮影を行い、撮影した画像データをもとに冠動脈を鮮明に画像化して狭窄部位を評価します。心臓核医学検査は自転車をこいだり、薬を注射することによって運動している状態を作り出します。心臓を頑張った状態にさせた後に、アイソトープという血流を反映する薬を注射して、心臓の写真を撮影します。心臓が落ち着いている状態でも同様に心臓の写真撮影を行い、運動直後と安静時の写真を見比べることによって、心臓のどの部位でどのくらい血流が低下しているのかを評価し治療方針を立てていきます。

治療

 冠動脈がそこまで狭くなっていない場合には、薬物治療をします。お薬を飲むことによって、血管を拡げたり、過度な収縮(攣縮)を予防し、心臓が働き過ぎないように整えます。また血小板の働きを抑えて血栓を出来にくくしたり、血液中のコレステロールを下げて血管が詰まらないようにする薬を飲みます。

 冠動脈が著しく狭くなっている重症の場合や、薬の効果が十分でない場合はカテーテル治療が必要になります。腕や足の付け根の血管から細い管(カテーテル)を冠動脈の狭くなったところまで入れて、カテーテルの先端に付けたバルーンを膨らませて血管を広げる方法がよく行われます。但しバルーンのみでは再び血管が狭くなることが多いので、予防のためにステントという筒状の器具を血管内に留置して血管の拡張を維持する方法が主流になって来ました。

 冠動脈にいくつも病変がある場合、狭窄部位や背景によっては手術をすることもあります。糖尿病がありステントを留置しても再び狭くなってしまう可能性が高いと予想される場合や、心臓の弁にトラブルが起きてしまい治療するための開胸手術を控えている場合などは、カテーテル治療ではなく、狭窄部分を迂回する新しい血行路を作るバイパス手術をします。

予防

 危険因子が多いほど、冠動脈疾患を発症する可能性も高くなります。しかし、危険因子を適切に管理、改善することで冠動脈疾患の発症は半数以上も減らすことが出来ます。更に重要なことは、若い時から危険因子そのものを予防、改善するために健康的な生活習慣を心がける事です。喫煙しない、塩分やカロリーを控えた食事をする、運動習慣、適正な体重の維持などがあります。その上で、定期的に健康診断を受け、高血圧や糖尿病や脂質異常症などの危険因子を有していないかチェックしていきます。危険因子を有している方は治療を継続していくことが重要です。なぜなら高血圧や糖尿病,脂質異常症の治療の本当の目標は、血圧や血糖やコレステロールの値を下げることではなく、冠動脈疾患をはじめ脳卒中などの病気を予防することだからです。たとえ遺伝的に冠動脈疾患になりやすい傾向の方であっても、健康的な生活習慣を若い時から維持することや適切な薬物治療を行うことにより冠動脈疾患を発症する可能性をかなり低減させることが出来ます。

心筋梗塞や狭心症になってしまったら

 冠動脈疾患は、急速に息苦しさやショックなど命にかかわる危険な状態に進行することがあります。また突然死の原因としてわが国で最も多いのが冠動脈疾患です。医学の発展により、発症後速やかに適切な治療を受けることで冠動脈疾患の救命率は改善しています。

 一旦発症してしまった場合には、再発予防のため生涯にわたり通院治療を続ける必要があります。したがって、冠動脈疾患を発症しないように予防することが何より重要です。当院では、心筋梗塞、狭心症の患者様を多数診断、治療をしてきた経験がある心血管カテーテル治療専門医が適切なアドバイスを行います。

 診断はもちろん、必要な検査の御相談、治療後の適切な外来フォローに関して皆様のお力になれると思いますので、気になる症状がある方は是非一度御相談下さい。

 

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