睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群とは?
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が止まる(無呼吸)、または呼吸が浅く、弱くなる(低呼吸)ことにより日常生活に様々な障害を引き起こす病気です。夜間に熟睡できないために昼間の眠気や、起床時の頭痛などの症状が出ます。重症度はAHI(無呼吸低呼吸指数)値で表します。AHIとは1時間に10秒以上の無呼吸、低呼吸が発生する回数をもとに診断します。AHIが5回以上で日中の眠気などの症状がある場合、もしくはAHI 15回以上では症状がなくても診断されます。AHIが5〜15回が軽症、15〜30回が中等症、30回以上が重症とされます。
睡眠時無呼吸症候群を疑う場合は、まずは入院せずにご自宅で検査可能な簡易検査の実施をお勧めします。当院から検査装置を貸し出ししますので、ご自宅で睡眠時に鼻と指先にセンサーをつけて睡眠時の呼吸、酸素濃度などを記録します。検査終了後は装置をご返却いただき、記録されたデータを当院にて解析して、睡眠時無呼吸症候群の重症度を評価します。
更に精密検査が必要な場合には、頭や顔にセンサーを装着して、脳波や眼球の動きから睡眠の深さや呼吸の状態を把握することも検討します。
睡眠時無呼吸症候群の主な症状と原因は?
睡眠中のイビキは、睡眠時無呼吸症候群を疑う一番のきっかけとなります。いびきは睡眠中に空気の通り道である気道が狭くなり、そこを空気が通る時に喉が振動することによって生じる音です。つまり、いびきをかくということは気道が狭くなっている証拠と言えます。無呼吸の間はイビキが止まり、その後にあえぐような激しい呼吸や大きなイビキで呼吸が再開するのが特徴です。仰向けで寝ると重力により、舌が下がって落ち込みやすくなり気道が狭くなってしまいます。また睡眠という状態では筋の緊張が緩んでしまいます。加齢による筋力の低下、肥満による気道狭窄、顎が後退していることや扁桃肥大などの形態的問題が関係して舌が落ち込みやすくなる原因となります。寝相が悪かったり、寝ている時に汗をかいたり、夜中に何度もトイレに起きるといったこともあります。また呼吸が止まっている間は酸欠を起こしているような状態が続いており、朝の起床時に頭が重い、全身の倦怠感を訴える方もいます。質の良い睡眠を取れていないため、昼間の眠気や居眠り運転をよく起こしそうになるなどの症状もあります。
睡眠時無呼吸症候群を放っておくとどうなる?
運転する人は特に注意が必要であり、眠気のために交通事故や災害事故を起こす危険性が高くなります。居眠り運転による交通事故率は、健常人の約7倍も高いという報告もあります。また就寝中は酸素欠乏状態に陥り、少ない酸素を全身へ送るため心臓や血管に負担がかかります。この状態が長く続くと、さまざまな生活習慣病の合併症を引き起こします。高血圧や糖尿病の危険性が約2倍、心筋梗塞や脳卒中の危険性は約4倍にもなると言われております。
睡眠時無呼吸症候群に良い生活とは?
睡眠時無呼吸症候群の改善には生活習慣の見直しも重要です。適切な睡眠時間は人によって異なりますが、日本人の平均的な睡眠時間は6〜8時間と言われています。必要とされる睡眠時間は個人によっても差があり、日中快適に活動できることが適切な睡眠時間と言えます。毎日規則正しい生活をして、就寝と起床時間が狂わないようにすると良い睡眠を得ることができます。寝る前の飲料にも注意が必要であり、コーヒーや紅茶や緑茶などに多く含まれるカフェインを控えることが勧められます。カフェインは覚醒作用だけではなく利尿作用があり、眠った後でも尿意で起きししまうため熟睡を妨げます。酒を控えることも重要です。アルコールを飲むことにより寝付きが良くなりますが、早朝に覚醒作用が働き、後半の睡眠が浅くなり睡眠の質が低下してしまいます。寝酒が習慣化すると、同じ摂取量では眠れなくなり、酒量が増えてしまい睡眠の質はどんどん低下してしまいます。肥満の方は、減量することで気道狭窄が改善する場合もあるので、適度な運動を取り入れて適切な体重を目指しましょう。
睡眠時無呼吸症候群の治療は?
軽症な場合には口腔内装置(マウスピース)による治療があります。下顎を前方に固定して空気の通り道を開くようにするマウスピースを装着して就寝します。また気道閉塞の原因が扁桃肥大、鼻閉の原因に鼻疾患があるなどの形態的問題の場合には、手術で改善することもあります。
CPAP(シーパップ)療法(持続陽圧呼吸療法)は治療効果が高い治療法です。CPAP装置からホース、マスクを介して空気を気道に送り、常に圧力をかけて気道が塞がらないようにします。CPAPを適切に使用することで睡眠中の無呼吸やイビキが減少し、熟眠感が得られ目覚めもすっきりして日中の眠気がなくなり、夜間のトイレの回数も減るといった症状の改善が期待されます。視力矯正のためにメガネを使い続けるように、CPAPも使用しなければ無呼吸は無くならず効果はありません。CPAPに慣れるまでに2〜3ヶ月かかる場合もありますが、継続して使い続けることが重要です。
イビキがうるさいと言われる、昼間に何か眠気がある、よく居眠り運転をしてしまう、このような症状が気になる方は、まずは気軽に御相談下さい。睡眠時無呼吸症候群の可能性がある場合には、まずは自宅で実施可能な簡易検査をしてみることをお勧めします。
